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東京高等裁判所 昭和35年(く)102号 決定 1960年10月18日

少年 N

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣意は、申立人提出の抗告申立書に記載されたとおりであつて、要するに、原決定のなした処分は著しく不当であるということに帰する。

よつて本件少年保護事件並びに少年調査各記録を調査し、且つ当審において少年の父F、同母M子連名提出にかかる陳情書を参酌して勘案するに、少年はすでに高等学校在学中十六歳の頃不良友人と共に通学の汽車中で女学生に悪戲し傷害を与えた事件を起し、昭和三十三年二月十八日水戸家庭裁判所土浦支部において不処分決定を受けたにかかわらず、何等改悛するところなく、その頃不良友人と共に万引をなし、同年六月十日同支部において保護観察処分に付せられ、同月十九日高等学校を退学し、工員として父の勤務する会社で稼働することになつたのであるが、勤労意慾を欠き僅か二十日間で右会社を退職し、徒食中、二回に亘り恐喝をなした廉により、昭和三十四年六月二十日同支部において再度保護観察処分に付せられたのに、依然行状を改めることなく、屡々就職先を転じて徒食する期間が多く、その間本件非行に及んだものであつて、その性格は、自己顕示性非常に強く、非協調的で、興奮性もはげしく、意思の自立性自発性に欠け、移り気で、持続性にも欠け、無気力であるということであつて、要するに性格上の偏倚が著しく、自己反省をなすかわりに、相手や社会に攻撃を向ける性行が著しいものと認められ、他面、家庭環境も、両親が外出勝ちで少年を指導監督する能力に欠けているのであるから、この際少年を相当期間施設に収容して矯正教育を施し、社会適応能力を育成することが必要であると考えられ、この措置に出た原決定の処分は相当である。その他原決定には、決定に影響を及ぼすべき法令の違反、重大な事実の誤認、処分の著しい不当ありと疑うべき事由は存しない。

よつて本件抗告は理由がないから少年法第三十三条第一項に則りこれを棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長判事 岩田誠 判事 渡辺辰吉 判事 司波実)

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